2016年10月12日水トクで放送予定の「ロンドンのキングス・クロス駅火災事件」の放送に先駆けて、事件の詳細やこれほどの被害拡大となった原因を解明します。
キングスクロス地下鉄火災事件の概要
火災発生時はキングスクロス駅構内はどのような状況だったのでしょうか?
キングスクロス駅はどんな駅?
イギリスロンドンの中心にあるキングスクロス駅は1800年代に開業した世界で最も古い地下鉄駅でした。
その為、近隣の駅はどんどん新しくなっていく中で味のあるキングスクロス駅を残そうと、ほとんど手がかけられる事は無かったようです。
しかし、安全な鉄骨などの作りに建て替えなかった事が原因で駅火災事故史上最悪の結果を招くのです。
ハリーポッターの撮影現場になったキングスクロス駅
J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズにホグワーツ特急の始発駅として登場してきます。
コレ↓
出典:blogs.yahoo.co.jp
キングスクロス駅、火災発生時の状況
https://ja.wikipedia.org
1987年11月18日の夕方頃、キングスクロス駅内は帰宅ラッシュの時間帯を少し過ぎていましたが、そこはロンドンの中心部だけあり、沢山の人々が駅を利用し電車を待っていました。
そんな時、古い木製のエスカレーターの下の方から火があがり、目撃した複数の乗客から駅員に通報が入ります。
すぐに駆けつけた駅員とイギリス鉄道警察により消防車が要請されました。
火災通報後の対応
その間、エスカレーター下のごく狭い範囲で火が燃え続けている中、訓練を受けていない駅員は構内にある水噴霧式の消火器の使い方がわからず消防隊員の到着を待つしかありませんでした。
乗客から最初の通報があってから10分程で消防車が到着し、空気呼吸器をつけた隊員たちにより水噴霧器での消火が始まりました。
木製のエスカレーターを伝って吹き出す炎
しかし突然火が勢い良く燃え上がり、エスカレーターを伝って上のフロアに炎が吹き出し、のぼったところにある切符売り場は一瞬にして炎と黒煙に包まれたのです。
その場には沢山の人がいましたがその中の多くの人が亡くなり、または重傷を負ってしまいました。
一方で地下フロアにいた何百人もの人は地上に出ることが出来なくなリましたが、別線の列車に乗り駅から避難する事が出来ました。
この火災で救急車14台で近隣の病院に負傷者を搬送し、消防士150人がかりで翌1時46分に火は消し止められました。
↓こちらが当時使用されていた木製のエスカレーターです
出典:http://blogs.yahoo.co.jp/
出典:http://blogs.yahoo.co.jp/
被害の状況
キングスクロス駅火災によって31人が亡くなり、100人以上の負傷者を出しました。
また、病院に運ばれた中の19名が重症だったそうです。
被害者の画像
実際に被害に遭われたKwasi Afari Mintaさん↓
出典:http://maash.jp/
治療用の仮面をつけた姿が当時のメディアに出て話題に↓
出典:http://maash.jp/
職務を全うした消防隊長
この事件が注目を浴びた理由の一つに消化の為に駆けつけた消防隊のリーダーである消防隊長が自身の職務を全うし亡くなってしまった事もあります。
亡くなった31人の中に火災現場に最初に到着した消防隊長であるコリン・タウンズリー がいました。
彼は突然吹き出してきた炎によって命を落としてしまったのです。
タウンズリーの遺体は、出口階段の下で黒焦げになった乗客の横で発見されました。
身動きのとれなくなった乗客を助けようとしていたものと考えられています。
16年間も身元不明だったアレクサンダーさん
16年間身元不明だったアレクサンダー・ファロンさん↓
出典:https://www.btp.police.uk/
当時一人だけ身元特定ができない男性がいいました。
名前もわからなかった為、彼を”マイケル”または”ボディ115″(遺体の整理番号)と呼んでいたそうです。
しかし火災から16年後の2004年1月22日、法医学的証拠によりアレクサンダー・ファロンさん(73歳)と判明しました。
アレクサンダーさんは一人暮らしをしていましたが、アレクサンダーさんと連絡が取れなくなった4人娘は父親がキングス・クロス駅で亡くなったのではないかと疑っていたんです。
しかし不運にも、当初遺体の年齢は50代~60代と発表されていた為、別の行方不明者が候補に挙がっていたのです。
その為、身元の確認が遅れてしまいましたが最終的に家族の元に帰る事ができました。
キングスクロス地下鉄火災が発生した原因
火災を起こした原因となったのは1本のマッチでした。
誰かがタバコに火を点け、火が点いたままのマッチを古い木製のエスカレーターに捨てた事で火災が発生しました。
この頃ロンドンでは禁煙運動が少しずつ広まってきていて、ちょうどこのキングスクロス駅でも禁煙が呼びかけられ始めていた矢先の出来事だったそうです。
犯人わ?
これは未だに解明されていません。
『何者か』が火のついたマッチを置いただけで当時は駅構内で喫煙するのも当たり絵の時代でだったので誰がマッチに火をつけたかなんて特定は出来なかった様です。
現在であれば地下鉄の駅でマッチに火を付ける人がいたらすぐに不審者として通報されますね!
短時間で大惨事となった3つの原因
ここで疑問に思いませんか?
なぜ火の点いたマッチ1本でここまでのに大惨事になってしまったのでしょうか?
以下3つの原因があったと言わています。
フラッシュオーバーとトレンチ効果が原因で大炎上
出典:http://lowch.com/
突然火が勢い良く燃え上がったとされていますが、これは「フラッシュオーバー」という現象です。
「フラッシュオーバー」とは、爆発的に延焼する火災現象のことである。 室内で火災による熱で可燃物が熱分解し、引火性のガスが発生して室内に充満した場合や天井の内装などに使われている可燃性素材が輻射熱などによって一気に発火した場合に生じる現象。
そしてフラッシュオーバーと同時に「トレンチ効果」が起こりました。
「トレンチ効果」とは、建物内で火災が発生した際に斜めになった坂や階段、エスカレーター沿いに炎が勢いよく昇っていく現象の事を言います。
この現象が地下空間であるキングスクロス駅内のエスカレーターで起こり、一気に被害が拡大したと言えます。
エスカレーターの周りにあった物に引火した
出典:https://ja.wikipedia.org/
エスカレーター下に燃えやすい(微生物の塊)が溜まっていたと言われています。そこに引火したと思われます。
そして、1であげたフラッシュオーバーやトレンチ効果によってエスカレーターを上り吹き出してきた火が近くにあった切符売り場に引火し、たちまち黒煙と共に熱風と炎が広がったのです。
駅員が避難訓練を怠っていた
国内で過去に大きな地下鉄火災が発生していなかった為、駅員や関係者が避難訓練を実施していなかったそうです。
その為、危機管理がなっておらず駅内に燃えやすいゴミが溜まってしまっていたのでしょう。
更に火災事故に関して軽視していた為、消火活動も行えず被害が拡大し犠牲者を増やしてしまったと言えます。
出典:http://project-toei.jp/
キングスクロス駅の現在
それでは数々のバッシングを浴びたキングスクロス駅はその後どうなったんでしょうか?
キングスクロス駅の事件後の取り組み
出典:http://ameblo.jp/
ロンドン地域交通局の幹部らは辞任となり、木製の踏み板を撤去し、エスカレーター下に熱感知器とスプリンクラーの両方が設置されました。
災害時の訓練を怠っていた駅員さんたちの防災訓練も強化され無線連絡システムも導入されました。
そして火災事件の5日後からロンドンのすべての地下鉄構内で喫煙が禁止されました。
リニューアルされたキングスクロス駅
出典:http://vipauk.org/
2014年の3月にはロンドンの全ての地下鉄駅内のエスカレーターが金属製に切り替えられました。
また、キングス・クロス駅は2012年に開催したロンドンオリンピックに向けて改装が入りとても近代的な作りに変わりました。
ハリーポッターでは9と3/4番線の駅として話題になり、ハリーポッターの衣服や小道具のレプリカなどのグッズを販売しているお店もあります。
ハリーポッターの劇中でホグワーツに行く『9と3/4番線』記念写真を撮るのに人気のスポットです↓
出典:https://wadaicee.wordpress.com/
出典:http://konotabi.com/
ハリーポッターグッズ販売店↓
出典:http://london.navi.com/
現在はあのハリーポッターの影響でかなり潤っているようですね!
キングスクロス地下鉄火災まとめ
出典:http://sharetube.jp/
100人以上が被害に遭い31人が死亡。そして16年間も家族に引き渡される事のない身元不明者が出る様な悲惨な事件でした。
この事件を教訓に駅構内の防火訓練などが世界的に広まった様です。